資格が重視されてきた時代
ネイリストに国家資格が存在しないなかで、JNECやJNAといった民間資格は長らく「技術を証明する唯一の手段」とされてきました。求人票には資格保持者優遇の文字が並び、就職や転職においても合格級数が目安となりました。当時はネイルがまだ一般的ではなく、知識やスキルの共通基準が必要とされていたのです。サロン側にとっても、資格はお客様に安心感を与えるための分かりやすい材料でした。
資格取得が当たり前になった背景
その流れを後押ししたのがスクールの存在です。ネイルスクールは資格取得をゴールとしたカリキュラムを組み、広告でも「合格率」「合格者数」を前面に打ち出しました。学びたい人にとって資格は目標となり、努力や継続の成果を形にできるものとして広がっていきました。就職活動でも、資格があるだけで採用されやすい雰囲気が確かにありました。
SNS登場による価値観の変化
しかし、状況は一気に変わります。SNSが普及し、ネイリストが自分の作品を直接発信できるようになると、資格よりもデザインセンスや集客力が評価されるようになりました。福岡や博多、天神のような競争の激しいエリアでも、フォロワー数や口コミからお客様が集まる時代になり、資格は絶対条件ではなくなったのです。ここから「資格は取らなくてもやっていける」という声が増え始めました。
資格取得者の減少と高額化
同時に、資格取得にかかる費用は年々高額になっていきました。今では受験料や教材費、スクール代を含めると100万円と言う、考えられないほどの金額がかかります。その結果、資格を取る人は減少傾向にあり、本当に強い向上心や夢を持つ人だけが挑戦する流れになっています。努力や情熱を注いで資格を取得した人たちに話を聞くと「結局そこまで必要ではなかった」「今思えば資格にこだわらなくても良かった」という感想が返ってくることも少なくありません。

これからのネイリストに求められるもの
資格があってもなくても、ネイリストとして成長する道は無数にあります。SNSでの発信力や接客力、デザイン力など、資格以外の部分でキャリアアップする人は確実に増えています。もちろん資格を取ることで得られる達成感や自信、学びの積み重ねは価値あるものです。しかし、それに縛られすぎず、自分のビジョンに合った方法でスキルアップを重ねていくことが、これからのネイリストには求められるのだと思います。
ネイルの資格をめぐる考え方の歴史

資格の大切さを感じてきた世代として
実績ネイリスト歴28年の経験。私は資格の大切さを強く感じながら育ってきました。努力を重ねて試験に挑戦し、合格したときの達成感や自信は、今でも心の支えになっています。その経験があったからこそ、ネイリストとしての実力を伸ばし、仕事に対するやりがいを深めることができたのだと思います。だからこそ、資格を頭ごなしに不要と切り捨てる気持ちにはなれません。資格が与えてくれる成長過程の価値を、私は実感してきました。
それでも時代は変わった
ただ現実として、資格を持たなくてもネイリストとして活躍できる環境が整いつつあります。SNSや口コミを通じて自分の作品を発信できるようになり、資格よりも実力やセンスで勝負できる時代です。そのため、はじめから高額な費用をかけて資格を取ることが、必ずしも最善とは限らなくなりました。資格取得の金額は年々高くなり、今では負担が大きいと感じる方も多いはずです。
私が伝えたいアドバイス
だからこそ、これからネイリストを目指す方にはこう伝えています。いきなり高いお金をかけて資格を取ろうとしなくても大丈夫。まずはサロンワークや実践の中で経験を積み、自分のスキルを磨いていけばいいのです。現場で学びながら技術を習得すれば、資格を受けるときにも楽に感じられますし、必要以上にお金をかけることもありません。これは最速で成長できる方法のひとつだと考えています。

実践から得られる成長
現場に立つことで、お客様とのコミュニケーション力や施術のスピード感、衛生管理の大切さなど、試験勉強や試験だけでは、絶対に学べない知識や経験値が身についていきます。資格はその過程で自然と挑戦しやすくなり、結果としてキャリアアップやスキルアップにもつながります。資格取得を目標にするのではなく、成長の一部としてとらえることができれば、無理なく前向きに挑戦できるでしょう。
まとめ
資格は必ずしも最初から必要ではありません。ですが、努力を形にし、達成感や自信を得られる手段としての価値は今も変わりません。大切なのは、自分に合った順番で学び、挑戦していくことです。ネイリストとして夢やビジョンを持ち、充実感を感じながら成長していけるよう、資格も実践も上手に取り入れていくことをおすすめします。