ネイルスクールを卒業しても、働けない現実がある
ネイルスクールで何ヶ月も学び、時間もお金もかけて検定を取得したのに、「サロンに就職できない」「実技が通用しない」という声が、福岡でも後を絶ちません。本人は一生懸命に努力してきたのに、実際にサロンワークに出てみると、現場のスピードや技術、接客マナーにまったくついていけず、学び直しを求められる。そんな状況に戸惑う方が本当に多いのです。
私たち「福岡アンドネイル」でも、これまで多くのネイリスト志望者と出会ってきました。その中には、検定2級や1級を取得しているにも関わらず、実際にサロンで施術できるレベルに達していない方が珍しくありませんでした。正直なところ、「ネイルスクールで何を学んできたのだろう」と思わざるを得ないケースもあります。
この現象は、決して一部の話ではありません。福岡の多くのネイルサロンが、「検定だけでは即戦力にならない」と感じており、SNSやブログでもこの問題に触れる経営者が増えています。資格を取ることだけが目的になりすぎていて、サロンで本当に必要な実践力やお客様対応が後回しにされてしまっている現状。これは、業界全体として向き合うべき課題だと私たちは感じています。
ネイルを学びたい気持ちは尊いものです。でも、せっかく夢に向かって踏み出したのに、「また一から学び直し」と壁にぶつかるのは、とてもつらいこと。こうした現実をきちんと伝えることは、これからネイリストを目指す人にとっても、大切なことだと思っています。
検定がすべて、思い込みに縛られていませんか?
ネイリストを目指す多くの人が、「まずは検定を取らないと働けない」と思い込んでいます。でも、それは本当に正しいのでしょうか。現場で実際に採用や育成をしている立場から見ると、その思い込みが、多くの人の選択肢を狭め、無駄に遠回りさせてしまっていると感じます。
特に最近は、検定対策を前面に押し出すネイルスクールが増え、受講生に対して高額な授業料を提示するケースも目立ちます。検定を取ることがゴールのように見えてしまう構成で、実践的な練習や、現場で必要な接客や段取りの指導は二の次。結果として、「資格はあるのに働けない」「どこにも受からない」という状態に陥ってしまうのです。
もちろん、検定には意味があります。基礎を学ぶ過程としてはとても重要ですし、自信や技術の裏付けにもなるでしょう。でも、それがすべてではありません。サロンに入ってから求められるのは、お客様と会話をしながら施術する力、限られた時間内で正確に仕上げるスピード感、そして何より“また来たい”と思ってもらえる人柄です。
福岡のネイル業界でも、こうしたギャップに悩む人は少なくありません。実際にサロンを経営している立場からすると、「検定があっても、現場で通用しない人」と「検定はないけれど、素直で覚えが早く、お客様との関係づくりが得意な人」がいれば、後者を選ぶという声も多く聞かれます。
資格が悪いのではなく、それを“絶対条件”と思い込んでしまう空気が問題なのです。本来は、もっと自由に、自分のペースで学びながら働く道もあるはず。それに気づかないまま、高額な検定コースを何度も繰り返してしまう人を見るたびに、もどかしさを感じます。

資格制度の裏にある、見えにくい業界の構造
ネイル業界には、長年かけて築かれてきた“資格中心”の仕組みがあります。検定を発行する団体、指導者を育成するスクール、教材や道具を提供する業者。こうした組織が連携しながら、ネイリスト協会を頂点とした一種のピラミッド構造が出来上がっているのが現状です。
ここでもう一つお伝えしたいのは、法律では資格は関係ありません。あくまでも民間団体が勝手に決めたものであり、儲けの仕組み。利権構造が出来上がっていると言うことです。
もちろん、制度があること自体は悪いことではありません。一定の基準を設けることで、業界全体の質を守るという意義もあると思います。ただ、その構造があまりにも一方向に偏ってしまうと、本当に現場に必要な教育や柔軟なキャリア支援が置き去りにされてしまう恐れもあります。
実際に福岡でも、「検定に合格するためだけの授業」に追われる生徒を多く見かけます。その中には、「今の自分に必要なのは現場での経験だ」と感じながらも、スクールから「まずは資格を取らないと」と繰り返し勧められ、半ば信じるしかないまま通い続けている人もいます。
これはある意味、業界全体が“検定ありき”で成り立っている証拠かもしれません。資格を取ることがステータスになり、それを目指す人が増えれば増えるほど、スクールも検定団体も安定して利益を得られる仕組みができあがっているのです。
資格はサロンワークを先に学び、自信を付けてから、後から取る方が圧倒的にお安く、早く目標に到達します。
そして、その仕組みの中で、「資格があれば就職できる」という幻想だけが一人歩きしてしまう。それが結果的に、現場で通用しない若いネイリストを生み出す一因になっていると感じます。
私たち現場のサロンとしては、もっと柔軟な入り口があっていいと思っています。検定を取る前にサロンで見学や研修ができる、または働きながら必要に応じて資格を目指せる。そんな形がもっと一般的になれば、「学んだけど働けない」という悩みは減るはずです。

検定よりも、まず現場に触れる。サロンワーク実践型ネイルスクールという選択肢
資格があっても働けない。学び直しが必要になる。そうした現実を見てきたからこそ、福岡アンドネイルでは「最初から現場で学ぶ」という新しい形のネイルスクールを立ち上げました。
このスクールは、従来のような検定対策ありきではなく、サロンワークを軸にした「実践型のカリキュラム」が特徴です。学ぶ目的はあくまで「働くため」。ネイルが上手になることはもちろん、実際の接客や施術の流れ、トラブル対応、お客様とのコミュニケーションまで、すべてが“現場基準”で組まれています。
たとえば、サロンで実際に使っている材料や道具を使い、スピード感のある施術を体験することができます。また、ただ技術を練習するだけではなく、「どうすればまた来たいと思ってもらえるか」といった、接客や提案の仕方まで丁寧に学びます。
受講生の中には、ネイルスクールを卒業してから再度「ここで学び直して良かった」と話す方もいます。理論や検定だけでは得られなかった“お客様と向き合う力”を、現場で培うことができるからです。
さらに、福岡アンドネイルではスクールだけで終わらせません。希望者にはサロンでの研修機会や、実際の現場での実習も用意しており、「学んだその先」に繋がる道筋を大切にしています。教える側も、現役でお客様を担当しているネイリストばかりなので、リアルな声や現場の最新トレンドもそのまま伝わります。
「資格を持っているから安心」ではなく、「実際にお客様に対応できるから自信が持てる」。そんなふうに、サロンワークを中心に据えた育成が、今の時代に本当に必要だと感じています。
未経験から現場デビューへ。実践型スクールで育った卒業生のストーリー
福岡アンドネイルの実践型ネイルスクールには、検定も経験もないところからスタートした方がたくさんいます。なかでも印象的だったのが、当時21歳だったAさんの存在です。
Aさんは、もともと美容系のアルバイトをしていたものの、ネイルの仕事に本格的に挑戦するのは初めてでした。スクールに通い始めた頃は、道具の名前すら覚えられず、自信をなくしていた時期もありました。それでも、「まずは目の前のお客様を笑顔にすることだけを考えよう」と、少しずつ現場に慣れていきました。
講師は現役ネイリスト。わからないことはすぐに質問でき、実際のお客様を想定したロールプレイングや、モデル施術の機会も豊富にあります。Aさんも最初は緊張して手が震えていましたが、施術のたびにフィードバックをもらい、成長していくのが目に見えるようになっていきました。
研修から3ヶ月後、Aさんは福岡アンドネイルの現場に入り、先輩と一緒にお客様を担当するようになりました。最初のころは時間内に仕上げることができず、焦りや落ち込みもありましたが、お客様から「またあなたにお願いしたい」と言ってもらえた日、自分の中で何かが変わったと話してくれました。
現在では、指名のお客様も増え、月の予約が埋まるほどのネイリストとして活躍しています。「技術も大事だけど、それ以上に“お客様と向き合う心”を学べたことが大きかった」と、Aさんは言います。
資格がなかったことを引け目に感じていたあの頃。今では、「資格よりも、まず現場で挑戦する勇気があってよかった」と、過去の自分に伝えたいと話していました。
何から始めたらいいのか分からない」と悩んでいるなら、
「何から始めたらいいのか分からない」と悩んでいるなら、一度、実践から始める道も視野に入れてみてください。資格は、サロンワークに慣れてから取るほうが、実際の流れや動きを理解した上で挑戦できるため、取得にかかる時間もコストも少なく済むことが多いです。
現場を知らないまま資格取得に時間とお金をかけるより、まずはサロンで「本当に必要なこと」に触れてみる。その経験があってこそ、検定の意味も、目指す理由もきちんと自分の中で整理されていくはずです。
資格はゴールではなく、通過点のひとつ。
それよりも大切なのは、今のあなたが一歩を踏み出す勇気と、現場で人と向き合う力です。